ADHDの診断について
○ADHDの診断基準

ADHDの診断基準としてさまざまな本で取り上げられているのが、米国精神医師学会のDSM-Ⅳ-TRです。
この判断基準は、あくまでも医師や治療に関連する人達が扱うためのものであり、ADHDの人が自分で診断するためのものではありません。
ADHD関連の本をお読みになったことがある人でしたら、このDSM-Ⅳ-TRはご存じかと思います。

このDSM-Ⅳ-TRは専門家が扱う診断基準のひとつですが、専門家のためにつくられたものだとはいえ、やはりこうした診断基準は気になって当然です。

そうした診断は、病院へゆだねるべきなのでしょうが、私はADHDと診断されることそのもの自体はそれほど重要だとは思っていません。
事実を知ることはある意味安心感を得られるのかもしれませんが、そこからどうするのかが大切です。

「ADHDとしての症状を薬物で抑えるべきなのか」

「ADHDの特徴を活かして、自然に生活できる道を選択するか」

診断は、あなたのこれからの行動をどうするかの基準になるかもしれません。
またこれによって、もしかするとADHD以外の診断を受ける可能性もあります。
そうしたことをハッキリとさせるのはよいことですが、それによって落ち込んでしまう人もいるかもしれません。
どちらにしても、そこからどうするのかが大切だということを忘れないでください。



■ADHDの診断基準 (DSM-Ⅳ-TR)

A.(1) か (2) のどちらか:

(1) 以下の不注意症状のうち6つ (またはそれ以上) が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は不適応敵で、発達の水準に相応しないもの:

<不注意>
(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
(c) 直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える。
(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやりとげることができない (反抗的な行動または指示を理解できないためではなく) 。
(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
(f) (学業や宿題のような) 精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またいやいや行う。
(g) 課題や活動に必要なもの (例:おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具) をしばしばなくす。
(h) しばしば外からの刺激によって容易に注意をそられる。
(i) しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

(2) 以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ (またはそれ以上) が少なくとも6ヶ月持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:

<多動性>
(a) しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
(c) しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする (青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない) 。
(d) しばしば静かに遊んでいたり余暇活動につくことができない。
(e) しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。
(f) しばしばしゃべるすぎる。

<衝動性>
(g) しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。
(h) しばしば順番を待つことが困難である。
(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する (例:会話やゲームに干渉する) 。

B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し、障害を引き起こしている。

C.これらの症状による障害が2つ以上の状況 [例:学校 (または職場) と家庭] において存在する。

D.社会的、学業的、または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。

E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂症 (※) 、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患 (例:気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害) ではうまく説明されない。

※現在では統合失調症と呼ばれている。

参考文献:DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引き (医学書院)